こんにちは。
合気道三級のばーやんです。
今日はちょっと怒ってます。
なので文章が感情的になっていると思いますが、その点はご容赦を。
先日、「護身術としての合気道について考えてみた。」という記事を書きました。
その後も護身術についていろいろと調べていたのですが、こんなブログ記事を見付けて非常にびっくりしたんです。
背後から口を塞ぎにきた暴漢を、
元乃木坂46の生駒里奈さんのような女性でも、
「簡単に相手の指を折れる(主旨)」
ようなインチキ極まりない発言をされた日には、
自己勝手な正義感丸出しの固まりみたいな私としては、
やはり黙っているわけにはいかないのです。
日本唯一の女性護身術師おりえの護身術はまず使いモノにはなりません。インチキ&偽物護身術には要注意 | 静岡最強のパーソナルトレーナー・静岡古武術研究会・静岡カイロプラクティック整体院 望月元晴のブログ
タイトルを見ていただいたらお分かりのように、ブログ主さんは非常に憤っています(怒り狂っていると言った方がいいかも知れません……)。
「日本唯一の女性護身術師おりえ」?
誰?
という感じなんですが、どうやらこの人が使いものにならない護身術を教えているそうなんです。
合気道ではなく空手がベースらしいのですが。
こんな人が居るんですね。
僕はこの記事で初めて知りました。
それでどんな感じなのか一応調べてみたんですが……。
これは、もう、ひどいですね。
他に言いようがありません。
ひどいです。本当に。かなり。
何がどうひどいかを書いてみましたので、この人が言うところの「護身術」を信じている人がもし居たら、ぜひ読んでください。
そして今すぐに考えを改めてください。
使いものにならないどころか、デメリットしかありませんので。
動画で護身術を説明?
この「日本唯一の女性護身術師おりえ」という人がどれくらいひどいかと言うと、動画で護身術を説明している時点で有り得ません。
まずはこちらをご覧ください。
確かに、この方法であれば掴んだ腕は離れるでしょう。
言っていることが間違っているわけではありません。
しかし、この動画のターゲットって誰ですか?
素人ですよね?
まったくの初心者ですよね?
直接の指導もせずに、動画だけで護身術を教えることができるわけありません。
正しくできているかどうかを確認することもなく、ただ情報を投げっぱなしにしているだけ。
「日頃から稽古を積んでいる人に対するワンポイントアドバイス」という程度なら、まだ理解はできます。
しかし、初心者・未経験者に対してただ情報を伝えるだけなど言語道断です。
想像してみてください。
例えば、自動車教習所の教官が運転の仕方を動画で説明するだけだったとしたら。
生徒は一人で勝手に自動車を運転して、正しいのか間違っているのかすら誰も判断してくれないとしたら。
怖くないですか?
それと同じレベルの話だと思ってください。
先日アップした僕の記事でも書きましたが、護身術というのは最後の手段です。
あらゆる手を尽くして危機から遠ざかり回避して、それでもどうしても避けきれなかった危機に直面しようかというとき、止むを得ず用いるのが護身術です。
言わば、自分の身を護るための「最後の砦」。
その護身術を直接の指導もなく、動画のみで説明している……。
有り得ません。
もしこの人の動画やその他の記事などを見て、「へぇー、護身術って簡単なんだー」なんて思っている人が居たら、今、この瞬間に考えを改めてください。
護身術は決して簡単なものではありません。
もう一度言います。
護身術は決して簡単なものではありません。
護身術は地道な稽古を積み重ねて初めて習得できるものです。
初心者が数時間の体験講習を受けただけで身に付くものではありません。
ましてや動画のみの説明を見て、自己流で習得するなど不可能です。
セミナーで護身術を習得?
次にこちらの動画をどうぞ。
何かのイベントで「護身術」を教えているようです。
「ぱっくんちょ」なんてふざけた名前を付けていますが、実際に掴まれたらあんなことしてるヒマはありません。
仮にあれが有効なときがあるとすれば、男に腕を掴まれた瞬間、間髪を入れず実行できたときのみです。
まったくの素人にそんなことできると思いますか?
コンマ何秒でも時間を置いたら、一瞬で女性は引っ張り込まれます。
体制は崩れ、重心は浮き、身体の自由は奪われます。
「ぱっくんちょ」なんて悠長なことをやってられんのです。
そして動画の最後の方で「誰かやりたい人いる?」と言っていましたね。
つまり、参加している人たちの数名しかあの技(?)を実際には体験しないということです。
他の人は見てるだけ。
それでは動画を見ているのと何ら変わりありません。
参加者の皆さんが「まぁ実際は無理だよね」と真っ当な判断をされていることを切に願います。
まったく同じ状況はまず起きない
例えば、護身術として教えてもらったケースが「相手に抱きつかれそうになった」だとしましょう。
もし現実でもまったくその通りの状況になれば、ひょっとしたら教えてもらったことを思い出して、身を護ることができるかも知れません。
しかし、「まったくその通りの状況」が起こる確率を考えてみてください。
ものすごく低いと思いませんか?
相手が真正面から来る場面しか稽古していなければ、横や後ろから来られただけで、その稽古は役に立たなくなります。
そもそも稽古量が足りなければ、まったくその通りの状況が起こったとしても、技をしっかり行うことができません。
道場で何度も何度も繰り返し稽古して、「この状況ならば完璧!」と言える状態になって初めて実践でも使える技となります。
そこまでの自信がない技を、危険な状況で使ってはいけません。
かえってリスクが増大します。
相当な量の稽古を積んでいれば、状況が少しくらい違ってもある程度は応用ができるかも知れません。
しかし、素人にはそんな応用など不可能です。
先ほどの「ぱっくんちょ」であれば、男はいわゆる「諸手取り」の形です。
男が両手で掴んでいるからこそ、その間から抜き取ることができるわけです。
ならば、あれが「片手取り」や「交差取り」であればどうでしょう。
男の手が自分の手の上に覆いかぶさっているような状態であれば。
あるいは正面から掴むのではなく、横から掴んだり、逆手に掴んで男が自分と同じ方向を向いていたりしたら。
掴んだ腕もまっすぐ引っ張られるとは限りません。
横に振られるかも知れませんし、上に振り上げられるかも知れません。
もしかしたら下に引きずり倒されるかも。
そんなすべての状況に対応できますか?
どんな風に掴まれているか一瞬で判断できますか?
まず無理だと思います。
ここまでの話をおりえさんはもちろんしているんですよね?
もししていないんだとしたら、誠実さが欠けていると言わざるを得ません。
現実はいつも想定外
では何年も稽古を積んだ達人であれば、自らの技だけで身を護ることができるでしょうか。
例えば岡本洋子六段。
ここまでのことができれば、ある程度のことには対応できるようにはなるでしょう。
しかし、それでも 100% はありません。
現実はいつも想定外なことが起きるからです。
相手が武器を持っていたら?
二人同時に襲いかかってきたら?
暗がりで不意打ちに遭ったら?
一歩道場の外に出れば、あらゆることが起こり得ます。
そして、そのすべてを想定して対処することは不可能です。
道場では見事な演武を披露する人であっても、路上で突然襲われたらどうなるでしょうか。
おそらく身体は縮こまって硬直してしまい、演武のような柔らかさはまったくなくなるでしょう。
こうなっては技どころではありません。
緊張感の塊のような状態では、合気道の技を行うのは無理です。
もちろん合気道の稽古には、どんな場面でも冷静にリラックスして対処するための精神的な修練も含まれています。
ですが、だからといって想定外の場面に出くわしたとき、普段通りに力を抜いて技を行うことができるかどうか。
現実的には、非常に難しいでしょうね。
熟練者の方が初心者よりも、通用する場面やパターンは遥かに多いと思います。
でも、すべてに対処することはできないんです。
危険な状況にならない努力を
護身術は確かに大事です。
習得しておくに越したことはありません。
しかし、何度も言うように護身術があるから大丈夫ということはないんです。
だからこそ、危機的な状況に遭遇する可能性を日頃から低くしておく必要があります。
なるべく明るくて広い道を通ったり。
短い距離でもバスやタクシーに乗ったり。
誰かに迎えに来てもらったり。
外を歩くときもイヤホンで音楽を聴きながらではなく、周りにしっかり注意を払ってくださいね。
また、護身術よりも低いリスクで危険な状況を抜け出せる方法も用意しておくことをおすすめします。
防犯ブザーや催涙スプレーなども常に使えるようにしておいた方が良いでしょうね。
(条例などで引っかからない程度のもので)
護身術はあくまで最後の手段です。
使わずに済むならそれに越したことはありません。
男に力づくでこられたら、女性はまず敵いません。
「護身術で何とかなる」なんてことは思わないでください。
とにかくそんな危険な状況に陥らないこと。
それを最優先にして、日頃から注意を払って準備をしておいてくださいね。