こんにちは。
合気道三級のばーやん(@yurumaji_aikido)です。
合気道についてネット検索していると、女性が次のような質問をしているのを見付けました。
私は40代の女性で、50代の学校の事務員の男性に、合気道や剣道を女性がするのは、野蛮で育ちが悪いと言われ、ショックを受けました。
皆さんに質問します。女性は、合気道や、剣道などをしてはいけないのです... - Yahoo!知恵袋
せっかく合気道に興味を持ったのに、こんなことを言われたらショックですよね。
もちろんこの男性が言っていることは、明らかに偏見です。
合気道をされている女性の方は、「野蛮で育ちが悪い」どころかとても礼儀正しくスマートな方ばかりですから。
でも、「女性が武道をしてもいいのかな……」と悩んでいる人は結構居ることも事実のようで。
体育会系とかオラオラ系みたいなイメージが強いのか、道場へ行く勇気が出ないという人も居ました。
そこで今回は、「むしろ女性にこそ合気道を始めてもらいたい!」と声を大にして言ってみたいと思います。
合気道は性別や年齢を問わず、すべての人にとって始めやすく続けやすい武道です。
その理由の中でも、今回は特に女性にとって嬉しいメリットについていくつか挙げてみますね。
周囲の無理解に負けず、ぜひ合気道の門を叩いてください!
合気道の稽古を通じて「危険察知能力」が身に付く
合気道というと「護身術」というイメージがあると思います。
実際、護身のための技術を身に付けるために合気道を始める女性も多いそうですね。
でも、残念ながら合気道を護身術として使うことは非常に難しいと言わざるを得ません。
「かなりの稽古を積んで達人と呼ばれるくらいのレベルにまで到達すれば、ひょっとしたら役に立つことがあるかもね」という程度だと思ってください。
少なくとも、武道未経験の女性が 1 〜 2 年稽古したところで、実用的とは程遠いのが現実です。
では護身のために合気道を稽古するのは意味がないのか? というと、実はそんなことはありません。
「護身術」という直接的な技術が身に付くわけではありませんが、「危機察知能力」という大変重要な能力(感覚)を身に付けることは可能です。
合気道は様々なケースを想定して稽古を行います。
棒などを振り下ろしてきた場合、正面から突いてきた場合、腕を掴まれた場合、肩や胸を掴まれた場合……などなど。
それらのケースに応じた対処法を、「技」という形で稽古しているんです。
そういった稽古を繰り返していると、「どういう状況になったら危険か」ということが分かるようになってきます。
つまり、「腕を掴まれたら」ではなく、「そもそも腕を掴まれないためには」ということを考えられるようになるんですね。
(もちろん道場の教え方や本人の意識によりますが)
自分の身を護る上で最も重要なことは、「危険」に近寄らないこと、そして「危険」が近付いてきたら素早くそこから離れることです。
わざわざ危険に立ち向かう必要はありません。
究極の護身は「危険な状況に近付かない」こと、そして「とにかく逃げる」こと、これに尽きます。
合気道は男性と女性が一緒に稽古をするという、他の武道やスポーツにはない特徴があります。
もし稽古を体験できる機会があれば、ぜひ一度男性に腕を掴んでもらってください。
たぶんその瞬間に、「護身術」をちょっと習ったくらいで身を護れるとは思わなくなるはずです。
男性と女性では、体格や筋力に圧倒的な差があります。
女性がそれを凌駕するほどのトレーニングを積んで、ようやく男性に勝てるかどうかというレベルです。
増して街中で突然そんな状況に追い込まれた場合、自分が傷付くリスクを負ってまであなたが戦う必要はありません。
逃げるチャンスがあるのなら、どうか迷わず逃げてください。
「護身術」はどうやっても逃げられないという場合にのみ使われる、本当の本当に最終的な手段です。
合気道の稽古を続けていれば、どのような状況に「危険」が潜んでいるかを自然と察知できるようになります。
慣れてくれば、普段の生活の中にもいろいろな危険な(かも知れない)状況があることが見えてきますよ。
「護身術」は学べないかも知れませんが、総合的な「護身」のための技術や能力を身に付けることができる。
それが合気道です。
【参考記事】
»護身術としての合気道について考えてみた。 – ゆるくまじめに合気道
自分のペースで稽古を続けられる
合気道には試合がありません。
それはなぜかというと、合気道には「勝敗を求めない、強弱・優劣を評価しない」という考え方があるからです。
つまり、「他人と比較しない」んですね。
合気道は性別や年齢に関係なく、始めたり続けたりすることが可能な武道です。
それだけでなく、過去の運動経験や、生まれ持った体格や性格、運動神経なども関係ありません。
同じ技でも人それぞれに適したやり方があるので、それを各々が追求すれば良い、という考え方なんですね。
「他人と比較しない」ということは、「自分なりの正解を自分で考えていく」ということです。
もし試合や大会があると、それに勝つことが目的になってしまいます。
そうなると経験や体格などの差によって、同じ稽古をしていても勝てる人と勝てない人が出てきますよね。
負け続けてしまう人はどんな気分になるでしょうか……。
「勝てないんなら続けていてもしょうがない」と思ってしまっても無理はないと思います。
もちろん試合に勝とうが負けようが、本人の気持ち次第で続けることは可能です。
しかし、モチベーションを維持することが難しい人も多いんじゃないでしょうか。
その点、合気道はそもそも他人と比較することをしないので、自分のペースを守って稽古を続けることができます。
昇級・昇段審査も、決められた日数の稽古をしっかり積んでいれば、基本的には誰でも合格できますし。
3 年ほどで初段になる人も居れば、10 年くらいかけて初段になる人も居ます。
もちろん、どちらが優れているか、という話ではありません。
それぞれのペースで続けているんですから、それで良いんです。
あなたが合気道を始めたら、どんな技が出来上がるでしょうね。
想像してみてください。
ちょっとワクワクしてきませんか?
ケガをしにくい
様々な武道やスポーツの中でも、合気道はケガをしにくい武道です。
YouTube などで合気道の動画を見ているとバンバン投げ飛ばしていますが、あんな飛び受身をするのはかなり先の話。
基本的な受け身も取れない初心者のうちから、投げ飛ばされることはありません。
先輩たちはしっかり相手の力量を見極めて、それに応じて技をかけてくれます。
ご安心を。
また、合気道の稽古を続けているうちに身体が柔らかくなるので、あなたの身体そのものがケガをしにくくなっていきます。
それに伴って動きも柔らかくなりますし、とてもしなやかな身体になっていきますよ(^^)
空手のような打撃はありませんし、柔道のように激しく投げ飛ばすこともありません。
また、走り回ったりスライディングをしたりすることもないので、コケて擦りむくなんてことも当然皆無。
よく言われる「ケガは付きもの」という言葉は、合気道には当てはまりません。
ただ、それでも受身で失敗したり、他の人にぶつかったりという不可抗力の事故は起こり得ます。
なので、ケガをしてしまう可能性が 100% ないと断言できるわけではありません。
稽古のときはしっかり周りの状況を確認しながら、細心の注意を払ってくださいね。
受け身ができるようになってくると、技の稽古の中でも無理に受け身を取ろうとして失敗……ということもよくあります。
調子に乗りすぎないようにしましょう(^^;
数ある道場の中には、バンバン激しく投げ飛ばしまくるところもたまにあります。
僕はあまり好ましくは思わないんですけど、そういう方が良いという人も居るんですよね……。
考え方や好みは人それぞれですので、見学や体験稽古のときにしっかり確認しておきましょう。
健康的で美しい身体になる
合気道は全身運動ですから、身体全体の筋肉が自然と程良く鍛えられます。
その結果、稽古を続ければ続けるほど、健康的で美しい身体になってきますよ。
身体も柔らかくなるので、所作や身のこなしなども良い方向に変わってくるはずです。
合気道で動きが目立つのは上半身ですが、下半身もそれに連動して動かさないと技は美しく決まりません。
また、身体の軸をしっかり保つために、体幹やインナーマッスルと呼ばれる筋肉も自然と鍛えられます。
背筋を伸ばした状態をずっとキープしていますから、姿勢もきれいになってきますよ。
単純に運動としてカロリーを消費しますし、筋肉が付くことで基礎代謝も上がって痩せやすい(太りにくい)身体になってきます。
なので、長い目で見ればダイエット効果もかなり期待できますね。
「1 ヶ月で○kg!」という即効性はありませんが(^_^;)
筋トレやランニングなど、稽古以外のトレーニングも基本的にはありません。
「合気道に必要な筋肉は、合気道の稽古でだけ身に付く」と、道場でも度々聞かされます。
「筋肉が付く」というと身体がムキムキになるイメージかも知れませんが、そんなことはもちろんありません(笑)
むしろ無駄なものが削ぎ落とされたような、スマートでしなやかな身体になってきます。
また、「礼に始まり礼に終わる」とよく言われるように、合気道も礼儀・作法を重んじています。
道場によってその厳しさは異なりますが、感謝や尊敬などの気持ちをしっかり込めた礼はやはり美しいものです。
稽古のたびに意識していると、普段の立ち居振る舞いも美しくなってきますよ。
【参考記事】
»合気道でダイエット? 全然ありです! – ゆるくまじめに合気道
男性と一緒に稽古して大丈夫?
前述の通り、合気道は男性と女性が一緒に稽古をします。
これは他の武道やスポーツにはない特徴の一つではありますが、不安に思う人も居ると思います。
特に、胸やお尻が相手に当たるんじゃないか、ということを気にしている人が多いみたいですね。
結論から言うと、男性はまったく気にしてませんし、女性も経験を積むにつれて気にしなくなります。
そもそも正しい動きをしていれば、胸やお尻が当たることはありませんし。
逆に、女性の方が気にしていると、男性はそれを敏感に察知してしまいます。
普段より腰が引けてたりしますので。
それで遠慮してしまって間合いがいつも以上に離れてしまう、ということはあります(^_^;)
もちろん体格や筋力で男女差はどうしてもあるので、そういった面での「配慮」を男性がすることは大いにありますけどね。
合気道の技で相手の身体に触れるのは、基本的には腕や肩のあたりだけです。
入身投げのように顔や首元に触れる技もありますが、身体全体が触れることはまずありません。
(後ろ取りなどで胸が触れることもありますが、それほど頻繁に出てくる技ではありませんし、そのときだけ女性同士で組むようにすれば問題ないと思います)
もし胸などが相手に当たってしまう場合は、技が不充分か、あるいはそもそも動きとして間違っている可能性があります。
ある程度の経験を積めば、男性と組むことにも少しずつ慣れてきますよ。
有段者の女性ともなれば、気にする素振りなどまったく見せずに投げたり極めたりしまくってますから(笑)
ただ、それでも気になる人は気になりますよね。
特に始めたばかりで慣れないうちは、仕方のないことだと思います。
そういう場合は、なるべく女性同士で組ませてもらったり、歳の離れた年配の方に指導してもらったりした方がいいかも知れませんね。
合気道は他の武道より女性の割合が多いので、先輩の女性がたくさん居て教えてもらいやすいですよ。
僕が通っている道場も約半数が女性ですし、初心者の女性を指導するのは主に女性の有段者です。
あるいは、いっそのこと女性が師範の道場に入門するのも一つの手です。
道場のサイトやブログを見れば、代表者の名前や写真が掲載されていることがほとんど。
それを事前にチェックすれば、見学や体験稽古に行くときの心理的なハードルが下がるかも知れませんね。
僕が住む大阪で女性師範といえば、「天心道場」がよく知られていますね。
»天心道場(公式ホームページ)
こちらの道場長である藤谷美也子七段は、かつてスティーブン・セガール氏と結婚されていた方としても有名です。
また、こちらの道場には「女子部」なるものがあるとのこと。
»女子部 - 合気道合心館京都大阪
大阪と京都に道場があるそうです。
合気道に興味を持つ女性は増えているようなので、道場もいろいろ工夫をしているんですね。
まとめ
合気道が女性におすすめである理由を挙げてみましたが、いかがだったでしょうか。
この記事を読むことで合気道に興味を持ったり、合気道を始める後押しができれば嬉しいです(^^)
道場の探し方は過去の記事でも紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
合気道の始め方が分からないあなたへ
こんにちは。 合気道三級のばーやんです。 今回は、合気道に興味をもってから実際に始めるまでの流れをご紹介します。 細かい手順などは道場によって違うと思いますから、直接確認してくださいね。 基本的には以 ...