こんにちは。
合気道三級のばーやん(@yurumaji_aikido)です。
先日、職場の人から「合気道ってどんなんやったっけ? 空手みたいな感じ?」と言われました。
空手か……。
一般的にはそんなレベルなんですね。
合気道には打撃技すら無いのに……。
また、合気道は柔道ともよく混同されます。
同じような道着を着て、相手を投げ飛ばしてるようなイメージなんでしょうね。
そこで、今回は合気道と柔道と空手の違いについて簡単にまとめてみようと思います。
柔道や空手については知らないことだらけだったので、一から調べましたよ(^_^;)
いくつか分かりやすいポイントだけに絞ってご紹介しますね。
基本データによる比較
まずは基本的なデータで、ざっくりと比較してみましょう。
合気道 | 柔道 | 空手 | |
---|---|---|---|
ルーツ | 柔術・剣術 | 柔術 | 沖縄空手(唐手) |
創始者 | 植芝盛平 | 嘉納治五郎(講道館) | 大山倍達(極真空手) |
創始時期 | 大正末期から昭和前期にかけて (1925〜1948年頃) | 1882(明治15)年 (講道館の創設) | 1964(昭和39)年 (極真会館の設立) |
試合 | 無し | 有り | 有り |
乱取り | 無し | 有り | 有り |
主体となる技 | 投げ技・関節技(固め技) | 投げ技・寝技 | 打撃技 |
自らの攻撃 | しない(返し技のみ) | する | する |
想定シーン | 一対多数 | 一対一 | 一対一 |
武器の使用 | 有り(剣術・棒術・杖術) | 無し | 無し |
残心 | 有り | 有り? | 有り? |
合気道も柔道も、ともに日本古来の武術である柔術をルーツに持っています。
ただ、柔術以外の様々な要素を取り入れているので、「共通点もある」という程度でしかありません。
空手はそもそものルーツがまったく違いますね。
創始時期は柔道が一番早いんですね。
これは意外でした。
上の表では空手が一番遅いことになっていますが、沖縄空手自体はもっと昔からあります。
本土に伝わってから紆余曲折があって、極真空手ができたのがこの時期というだけで、何を始まりとするかによって変わってくると思います。
合気道に試合や乱取りはありません。
型稽古のみです。
空手にも型はありますけどね。
合気道の型稽古とは趣がかなり異なります。
合気道は技の優劣を競いません。
当然、勝ち負けもありません。
武力によって勝ち負けを争うことを否定し、合気道の技を通して敵との対立を解消し、自然宇宙との「和合」「万有愛護」を実現するような境地に至ることを理想としている
合気道 - Wikipedia
合気道は投げ技と関節技が主体となります。
と言っても、柔道のように道着を掴み合うことはありません。
掴んだとしても一瞬だけ、投げる瞬間や相手の体勢を崩す瞬間だけです。
また、合気道は自分が倒れたり体勢を崩したりしてはいけないので、寝技という概念自体がありません。
柔道との最大の違いがこの部分ではないかと僕は思っています。
それは上の表にも書いた「想定シーン」が違うからですね。
このあたりは後で詳しく書きます。
空手にも投げ技は一応ありますが、突きや蹴りといった打撃が主体ですね。
この一点だけでも空手は合気道や柔道と大きく違うんですけど、職場の人は何をどう混同してたんだろう……。
合気道は基本的に返し技のみです。
自分から攻撃することはありません。
合気道では武器を使うことがあります。
剣術や棒術、杖術です。
ただ、基本はやはり体術なので、武器を使うようになるのは初段以降ですかね。
ベースとなる体術をしっかりマスターしてから、その応用となる剣術などの稽古をしていきます。
僕の通っている道場では「これは本当は二段以上の技ですよ」なんて言いながら、割と武器に触らせてくれます。
道場によってはもっと厳しいところもあるんでしょうけどね……。
合気道では残心を非常に重視します。
いくら相手を倒したとしても、自分の体勢が崩れたり意識が散漫になったりすれば、その技は不完全であるとみなされます。
そういう意味でも、合気道は柔道や空手よりもむしろ剣道に近いんですよね。
技や身体の捌きも似ているところはたくさんありますし。
柔道や空手にも残心はあるらしんですが、僕が見る限りそうは思えません……。
相手を投げた後、すぐにガッツポーズしたりしてるし……。
武道によって「残心」の定義や捉え方が違うんでしょうか。
あと、合気道の動きの特徴としては「回転」が挙げられます。
特に転換。
このような動きは他の武道にはありません。
それから、柔道が「引き(屈筋)」の武道なのに対して、合気道は「押し(伸筋)」の武道です。
このあたりのことをちゃんと書こうと思ったら、とてもここには書き切れません。
細かすぎて分かりづらいでしょうしね。
別の機会を設けて書いてみたいと思います。
(一つの記事では収まりきらないかも……(^^;)
合気道は一対多数を想定している
上の表の「想定シーン」でも書きましたが、合気道は「一対多数」、もしくは「多数対多数」というシーンを想定しています。
ということは、目の前の相手を一人倒して終わり、ではないということです。
つまり、相手を何人倒そうが、自分は倒れるわけにはいかないんですね。
倒れたらその瞬間に斬られちゃいますから。
合気道のルーツに剣術があるというのは、技だけではなく「どういう場面・状況で自分は戦っているのか」という意識にも強く反映されています。
『バガボンド』という漫画がありますよね。
『スラムダンク』で有名な井上雄彦さんが描いている、剣豪・宮本武蔵の生涯を描いた作品です。
その第 26 巻から第 27 巻にかけて、武蔵と吉岡一門との斬り合いが描かれています。
その数なんと、武蔵一人に対して吉岡一門は 70 人。
まさに乱戦です。
ここで武蔵は何度か倒れることもあるんですが、その度にすぐ起き上がって次の相手に備えます。
当たり前ですよね。
そうしないと斬られてしまうんですから。
もちろん倒れていないときも、一人斬ったら次、一人斬ったら次、という風に、眼の前のことだけに意識を向けます。
先のことや前のことを考えている余裕なんてありませんからね。
ただ、最後の方でこの斬り合いの終わりが見えてきたとき、先のことを考えてしまって剣が鈍るんですけど……。
この一対七十というのは極端な例としても、合気道が想定しているのはこんな感じの大人数が入り乱れた状況だということです。
前回り受け身の違い
合気道の柔道の違いが最も分かりやすく現れているのが、前回り受け身だと思います。
何がどう違うかに注目してご覧ください。
まずは合気道の前回り受け身から。
次に、柔道の前回り受け身。
一目瞭然ですよね。
合気道はすぐに起き上がります。
そのために脚は交差して、立ち上がりやすいようにしていますね。
手は畳を叩く道場も多いですが、叩かずに起き上がれた方がいいと僕は教えられています。
(地面を叩いたせいでケガをするリスクがあるのと、手に剣などの武器を持っていても受け身を取れるように、という理由から)
一方の柔道は倒れたままですね(すぐに起き上がることもできるみたいですが)。
手も強く畳を叩いています。
合気道とは対照的に脚を開いていますが、これは投げ技の後に寝技へ移行するためだそうです。
投げ技の後に脚を交差して膝を立てていると、その脚に相手が倒れ込んできてダメージを受けてしまうから、とのこと。
柔道は通常の投げ技でも、自分が倒れ込みながら投げることが多いですよね。
それも寝技への移行が念頭にあると思いますが、一人の相手を完全に倒し切るという柔道の特徴が強く出ていると思います。
まとめ
合気道と柔道と空手がどう違うか、少しは伝わったでしょうか。
途中から空手についての内容がほとんど無くなりましたが……。
(比較するまでもないと思うんですけどね……)
「どう違うの?」と聞かれても、言葉ではなかなか説明が難しいんですが。
もうちょっと簡単に説明できるようになりたいです。
今回はそれぞれの違いに注目したこともあって、表面的な説明に終始してしまった感がありますね。
次はもうちょっと踏み込んで、合気道の本質についても書けたらいいなと思います。